プロフィール

Brazil Project

Cartas do Brasil

Cartas do Brasil は、初めてのセルフ・カバー・アルバムです。コンポーザーとしての自分を振り返って、カシオペア時代に初めて書いた曲から最近の作品まで、ブラジルの空気に合うバラードを中心に選曲しました。ブラジルの素晴らしいシンガー達に原曲を聴いてもらい、「貴方が感じるラブ・ソングにしてください」と、作詞もお願いして、歌ってもらいました。国内で最近よくセッションしている NORA さんにもスペシャル・ゲストで参加していただきました。ベースもエレクトリック・アップライト・ベースから4弦、6弦フレットレス & フレッティッドと多種多様に使い分けています。是非、聴いてみてください。

櫻井 哲夫

参加メンバー紹介

Ivan Lins(イヴァン・リンス)

1945 年リオデジャネイロ生まれ。70 年に「マダレーナ」がエリス・レジーナの歌でヒットし頭角を現す。南国の楽園都市リオを象徴する洗練されたメロディーとハーモニーは瞬く間に支持され、特に 70 年代を通じて世に送り出した「コメサール・ヂ・ノーヴォ」「レンブランサ」「ヂノラー・ヂノラー」といった名曲の数々は、今もなおその輝きを失うことはない。クインシー・ジョーンズのラヴ・コールで 80 年代はアメリカを舞台に活動し、ジョージ・ベンソン、マンハッタン・トランスファー、デイヴ・グルーシン等と共演。2000 年には生前のマイルス・デイヴィスの発案による『イヴァン・リンス・トリビュート』がマーカス・ミラー、スティング、チャカ・カーン等の参加でリリースされた。最近は A.C. ジョビンにオマージュを捧げるなど、ベテランらしい安定感ある活動を行っている。

イヴァンと私の出会いは、約 10 年前ある雑誌の対談を行ったときです。ブラジル人にしては随分アメリカナイズされたサウンド思考の人だな、という印象と、素晴らしいコンポーザーという印象が強かったけれど、会ってみると好奇心旺盛でポジティヴなナイス・ブラジリアンでした。その後は、来日するとたまに会って"いつか何かやろうね"と言い合ったものです。今回のレコーディングでは、シンガーとしての素晴らしい力量をしっかりと見せてくれました。私の尊敬する作曲家です。10 年間の願いが叶いました。

Djavan(ジャヴァン)

1947 年北東部の町アラゴアスで生まれる。ビートルズに憧れロックバンドで活動した後、73 年にリオに進出。ソング・コンテストでの入賞を機に 76 年にデビューを果たす。78 年にマリア・ベターニアが彼の作品「アリビ」を歌い大ヒット。シンガーたちがこぞって彼の作品を採りあげるようになる。自己の活動もこの頃から一気に充実度を増し 78 年に『ジャヴァン』、80 年に『アルンブラメント』、82 年にLAでスティーヴィー・ワンダー等を迎えて録音した『ルース』といった名作を世に送る。最近も、聴き所満載のライヴ・アルバムや二人の息子とのパフォーマンスなど、話題に事欠かない。北東部の吟遊詩人に通じる韻を踏んだ独特の言葉づかい、自らのギターが繰りなすユニークなリズム感、そして圧倒的な個性である声、彼の才能はいつの時代にも聴く者の心を捉えて離さない。

私は、この人からどれだけ影響を受けているか、計りしれません。ブラジルに一人旅したのも、この人の目を見たからです。普通の地球人には見えなかったし、その声とメロディーの魅力は私の感性を虜にしました。彼との出会いは、1986 年だったと思いますが、モントゥルー・ジャズ・フェスティバルにカシオペアで出演しに行ったとき、カジノの前で見つけて握手してもらったのが最初でした。翌年、来日したときは、対談をして、彼をイメージして書いた曲を聴かせたら、気に入ってくれて詩を書いて、彼のソロアルバムにいれてくれたという思い出があります。実は、その時の曲を今回は私のソロアルバムのために歌ってもらいました。20年間の夢が叶いました。

Filo Machado(フィロー・マシャード)

1951 年サンパウロ州生まれのシンガー・ソングライター/ギタリスト。個性豊かで天才肌のパフォーマンスは 80 年代にジャヴァンと共演した影響が強いとのこと。海外での活動も長く、フランスではポール・モーリアやミシェル・ルグランと、アメリカではニーナ・シモン、アル・ジャロウと共演している。日本人のミュージシャンやシンガーからも愛され共演歴が多く、特にここ 2〜3 年グッと知名度を上げてきた注目のアーティストである。

私は、この人のことを知りませんでした。今回レコーディング・スーパーヴァイザーとして協力していただいた吉田さんの紹介で、この人は今回のプロジェクトに合うと思うよ、と紹介してくれた人です。こちらの曲を送って、コンセプトを伝えて詩を書いてもらい録音してもらいましたが、その素晴らしいセンスに私はビックリしました。特にバラードの方はお気に入りです。その声、ギター、ムード、それに詞の内容といい、どれも共感してしまいます。ここにも同士が居たんだと、新発見した感じです。この年になって知り合った大切な音楽家です。

Rosa Passos(ホーザ・パッソス)

バイーア州サルヴァドール出身。ボサノヴァの神様ジョアン・ジルベルトが後継者に指名するほど、彼女の才能に惚れ込んだ。ティーンエイジから音楽活動を始め 79 年にデビュー。90 年代以降活動を本格化させ、コンスタントにアルバムを発表。クオリティの高いオリジナル作品と併せてA.C.ジョビン、アリ・バホーゾ、ドリヴァル・カイミの作品集をリリースするなど、パフォーマーとしても熱い視線を注がれる。ヨー・ヨー・マの最新作『オブリガード・ブラジル』でジョビン作品 2 曲に彼女の歌がフィーチャーされた。

5,6 年前だったでしょうか、確か彼女のアルバムを聴いて感動したのは。来日したときは、友人のベーシスト、シザオン・マシャードが呼んでくれたのですが、あの声量を最小限に抑えた歌唱の魔力に引き込まれ、溺れそうになったのを憶えています。そして、いつか自分のソロ・アルバムで貴方に歌って欲しいとお願いしました。自分でもここ数年違うコンセプトのアルバム制作をしていたのですっかり忘れていましたが、やはりその時と同じ曲をお願いしました。実は『21世紀の扉』を作る寸前にブラジル・プロジェクトがまさに始まろうとしていたのでした。いろいろあってその時は作れませんでしたが、今回はスムースに作ることができて良かったです。普段は作詞はしないそうですが、今回は特別に書いてくれました。5 年前からの願いが現実になりました。

Valeia Oliveira(ヴァレリア・オリヴェイラ)

北東部リオ・グランヂ・ド・ノルチ州ナタル出身。大学で建築学を学び、平行して音楽活動を行う。97年にローカル・レーベルからデビュー。2000 年に知人の縁で来日し、各地でプライベイトなライヴを行ったところ、プロデューサー吉田和雄氏の目にとまり、2001 年に『ヴァレリア』をリリース。翌 2002 年には『カント・リーヴリ』をリリースしワンダ・サーと共に東京・大阪・福岡のツアーを行った。

1 年前、ワンダ・サーのベーシストが誘ってくれて、彼女のライブを見に行ったとき、最初に歌っていたのがヴァレリアでした。それまでに観たリオやサンパウロのブラジルのシンガーとは少し違った感じで、何か素朴な雰囲気が印象に残っていましたが、今回やはり吉田さんの推薦で参加していただきました。澄んだナタルの空気を注いでくれました。今回は 6 弦フレットレスと、4 弦フレティッドでサウンドにバリエーションをつけてみました。

Tatiana(タチアーナ)

リオデジャネイロ生まれで音楽一家に育ち、幼少の頃から妹と共にコーラスなど音楽活動をスタートさせる。小野リサの作品に参加したことをきっかけに、ソロ・シンガーの道が開ける。日本でリリースされる松任谷(荒井)由実のボサノヴァ・カヴァー・アルバムにシンガーとして抜擢され4枚発表。現在は更なる飛躍を目指してリオのスタジオ・シーンで活動中。

彼女も吉田さんの紹介です。リオでは、2 カ所のスタジオで、歌ってもらいましたが、とてもまじめで一生懸命な人で、ブラジルの適当な感じが一切無かったのが印象的でした。今回の参加シンガーの中では一番普通の女の子らしい世界を表現してくれたと思います。声と詞がポップスなので、ベースはアップライトを使用し大人の空気で包むようにしてみました。

Mario Adnet(マリオ・アヂネー)

ギタリスト/コンポーザー/アレンジャーとしてリオのスタジオ・シーンで引っ張りだこの売れっ子。ジョイス、ヴィニシウス・カントゥアリア、小野リサを始め、晩年のA.C.ジョビンのアレンジも担当した。一方では自身の創作活動も活発に行い 90 年代終盤以降コンスタントにセンスの良いアルバムを発表している。最新作は日本でリリースされた『ポエマ・パラ・ガーシュウィン&ジョビン』。

マリオは 7,8 年前にアルバムを聴いて気になっていました。彼のギターと声はとても優しく、音楽的で、リオの空気をたっぷりと届けてくれます。決してテクニックで表現するのではなく、響きと音の選び方のセンスがとてもブラジル的。人間もユニークでまた縁があったら何か一緒に作りたいと思いました。タチアーナと2曲参加。

Leonardo Amuedo(レオナルド・アムエド)

ギタリスト/コンポーザー/アレンジャーとして、オランダで活躍していたが、最近ブラジルに拠点を移動し、イヴァン・リンスのバンドに参加。エレクトリック・アコースティックどちらもこなし、ジャズのエッセンスも充分に消化している実力派。 最近のソロ・アルバムは、『Angel DE LA Guardia』。Marcel Serierse とのコラボレーションで『DUO CONVERSATION』。

レオは、イヴァンが新メンバーのギタリストに天才を見つけたよ!といって興奮していたので今回参加してもらいました。パット・メセニーを彷彿させるエレクトリック・ギタープレイを得意としていますが、今回はアコーステイック・ギターのバッキングで素晴らしい演奏をしてくれました。新しい友達です。イヴァン・リンスと 2 曲参加。

NORA (ノラ)  Special Guest 

バンド活動に明け暮れた大学時代にサルサと出会い、84 年オルケスタ・デ・ラ・ルスを結成。89 年ニューヨークで大ブレイク、日本にもサルサブームを巻き起こす。90 年「DE LA LUZ」で国内,海外デビューし、米国ビルボード誌ラテンチャートで11 週連続 1 位を記録。その活動は世界に認められ、国連平和賞,文化庁芸術選奨文部大臣新人賞,NewYork 批評家協会賞(AceAwards)で「Best Album of the year」「Best Band of the year」,第 35 回日本レコード大賞特別賞を受賞、第 37 回米国グラミー賞「ベスト・トロピカル・ラテン・アルバム部門」へのノミネート,カルロス・サンタナとのジョイント・ライヴなど、目覚しい活躍を続ける。96 年からソロとしての活動を開始し、3 枚のソロ・アルバムをリリースし、国内、海外で活躍中。

ここ数年、ブルーノートでのツアーやイベントでのジョイントなど含め、櫻井哲夫とのコラボレーションが話題の日本サルサシーンを代表するヴォーカリスト、NORA が歌だけでなくスペイン語の作詞も担当して、今回スペシャル・ゲストとして参加してくれた。ライブでは、スティービー・ワンダーのカバー曲などをベースとボーカルのデュオで聴かせてくれたりしているが、今回の LA MADRUGADA もその雰意気を充分味わえるアレンジで収録されている。